屍者の帝国(映画) 原作も交えてネタバレと感想
大筋こそ同じだが、読み手や見る側の解釈によっては、原作と映画は印象が異なる作品だと思う。
友の魂。友の答えを求める物語。
いまさら感ですが、映画を見た当時を思い出しつつ。
【満足度-10点満点】
◆総合:6~7点
◆ストーリー:7点、◆脚本:5点、◆映像:9点、◆映画オリジナル要素:5点
【感想】
・原作を読まず、映画だけ見ると内容がわかりにくい。
・だが、原作既読済みで、映画を見ると、キャラの背景が変わっており、違和感が生じてしまう。
・映画はややBL寄り。というより、ほぼBL。
・長い内容の小説を、映画の尺でまとめたため、やや尺不足または、中だるみを感じる場面がある。
・映画用の編集が気になる。イイ意味でも、悪い意味でも。原作の初動部部分をバッサリと入れなかったり。また、ワトソンとフライデーの関係性の場面がやや友情を通り越し、ねちっこく感じる場面など。
・映像がとても綺麗で、作画、キャラデザ共に映画として申し分の無い出来。
・主題歌が EGOISTの「Door」とても素敵な曲でした。(でも、ハーモニーの「Ghost of a smile」の方が歌詞と屍者の内容とあっているような気がする。
・各声優人がとても演技がうまく、どのキャラも違和感無く鑑賞できる。
・原作と映画共に、色々な映画ネタを知らないと楽しさが半減する。
(ホームズ・フランケンシュタインの怪物・ドラキュラ・007・カラマーゾフの兄弟などなど盛りだくさん。)
【私情を交えた感想】
私はBL大好きだ、でもこの映画は少々BLを匂わせすぎているな、と思ってしまう。ワトソンのフライデーへの執着というか・・・。
ワトソンは彼の魂を呼び起こしたい。呼び起こして、また君の言葉を聞きたい。君からの合図をまっている・・・と、とても切なくて一途に感じますが。
私の中では、屍者技術への狂気的なワトソンとフライデーへの執着を持つワトソンを、ミックスしてグチャグチャにして、映画を見ている側のドーパミンを駆り立ててほしかった。
見た人の感想を聞いたり、見たりしたときの、私の私情…愚痴です。
この作品、わかりにくかったでしょうかね?説明不足でしたでしょうかね?
原作自体がボーッと気楽に読める作品ではないので、映画もまた難しくなりますよね。映画館を後にする際に退出される方々が、
①「よくわからなかった」②「あそこの意味よくわかんない」③「あのキャラの心情よくわからなかった」と話しているグループが複数名いらっしゃいました。
いやいやいやいや!おかしいから
①まず、「よくわからなかった」会社でよくわからない。はタブーですよ。よくわからなくても、「ナニが!!」わからなかったと言いましょう!!全部わからなかったならこの作品に向いていないので、それ以上気にしない事をお勧めします。
②「あそこの意味よくわからない」それは、本当に意味がわからないといけない場面だったのでしょうか?考えるな!感じろ!!ではいけませんか?本当に意味が必要なシーンで意味がわからないのであれば、再度見る事をお勧めします。
③「あのキャラの心情よくわからなかった」これ、一番許せません。だって、あのキャラじゃないですもん、私、または「あのキャラの心情よくわからなかった」と言っているアナタ!!キャラの心情は各キャラの心情。わからなくてもいいのです。解ろうとすればするほど、作品がつまらなくなる可能性もあります。②同様考えるな!感じろ!!それでも更に考えたい人は、原作と映画共に見る事をお勧めします。
最後は若干グチっぽくなりましたが、
今・・・私が会社でかかえている問題をそのまま反映させてしまいました・・・
このままだと、グチだらけになってしまうので、ネタバレへ移行します。↓
ネタバレなので、映画ソフトを見る予定がある方はUターンしてください。
【ネタバレ】
フランケンシュタインにより確立された、屍を蘇生される技術が、当たり前のように蔓延している世界。
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↓主人公ワトソン
友人のフライデーが死んだ。
ワトソンは彼から、ある意思を継ぐ。
自らが死んだら屍者として蘇生させ、魂の行方を追ってほしい。
魂が身体に戻ったら、フライデーはワトソンへ合図を贈るという友の言葉を信じ。
「人が死ぬと、21g体重が減る。それは魂の重さ」
ワトソンは彼からの意思を継ぎ、魂の重さ21gの行方を求める事となる。
ワトソンはフライデーの残した知識と持てる技術を駆使し、フライデーを屍者とする。
だが、蘇生したフライデーには、魂も意思も無い唯の屍者でした。
↓フライデー
友人の墓を荒らし、かつ何の支援の無い者が屍を蘇生させる事はタブーとされており、ワトソンは機関よりある命令を命じられる。
盗まれた「ヴィクターの手記」を奪還すること。
*「ヴィクターの手記」は死者に魂を宿し完全に蘇らす禁忌が記してある。
ワトソン、屍者フライデー、護衛フレデリックと共に「ヴィクターの手記」を盗んだ、カラマーゾフの行方を捜す事になります。
↓フレデリックとワトソン
その際に、ロシアの諜報部員であるニコライがカラマーゾフの居場所まで案内を申し出、同行する事になりました。
↓ニコライ
道中、屍者の集団から襲撃を受け、一行がピンチに陥ると
ハダリーという美しい女性がワトソン達を守ってくれました。
とても美しく不思議な雰囲気を持つ女性に、ワトソンは彼女から目をそらす事ができませんでした。
↓ハダリー
なんとか、カラマーゾフの隠れ蓑へたどり着いたワトソン達を、カラマーゾフは歓迎し迎え入れます。
ニコライはカラマーゾフの同郷であり友人だったため、彼らをカラマーゾフの下へ案内するため道中を共にしていたことが判明しました。
カラマーゾフの手元には「ヴィクターの手記」はありませんでした。
そして彼は自ら禁忌に手を出した事を悔いていました。
カラマーゾフにワトソンは「ヴィクターの手記」を見つけたら、破棄する事を願います。
ワトソンは彼の願いよりも、フライデーとの約束の為、カラマーゾフの言葉に、返事は出せずにいました。
翌朝・・・ワトソンは絶望します。
カラマーゾフを慕い、カラマーゾフの親友であるニコライが、生きたまま屍者プログラムを植えつけられようとしている場面に対峙します。
ワトソンは悲鳴を上げるニコライのもとに駆け寄り、作業を中断させようとしますが・・・
ニコライが拒みます。自ら望んだ事だと・・・
ニコライは生きながらにして、慕うカラマーゾフの手により屍者と化してしまいました。
ニコライの魂はどこにあるのか、21gの魂を持ち生きながらにして?それとも21gの魂は既に無く死んでしまっているのか?彼はもう話す事はありませんでした。
カラマーゾフは言います。魂など無い、ただ未来に死を上書きしただけだと。
そして、カラマーゾフは自らも生きながらにして、屍者のプログラムを書き込む作業に入ります。それを屍者とかしたニコライが手助けをします。
カラマーゾフは苦しみながらも、日本にある「ヴィクターの手記」の破棄を、再度ワトソンに願うのでした。
カラマーゾフの隠れ家に、生者はいなくなりました。
ワトソンは絶望しながらも、カラマーゾフの技術が完璧ではない、魂が見えないだけと、「ヴィクターの手記」をあきらめきれずにいました。
カラマーゾフの隠れ家をあとにし、日本へやってきた一行は日本の軍人の力を借り、「ヴィクターの手記」の保管場所へたどり着きました。
フライデーに「ヴィクターの手記」を解析させれば、フライデーの21gの魂は蘇ると信じ。
「ヴィクターの手記」を読み込ませたフライデーに異変が起こります。悲鳴のような、うめき声をあげるフライデー。
そこへ・・・
ザ・ワンが姿を現します。魂を宿した屍者の成功例ザ・ワンは、フライデーから「ヴィクターの手記」を奪い去ります。崩壊する建物、ワトソンは意識を失ってしまいました。
ワトソンとフライデーはハダリーにより、助け出されていました。ですが、フライデーは「ヴィクターの手記」の副作用により、凶暴化してしまい、ワトソンの知っているフライデーでも、ワトソンの蘇らせたフライデー、どちらでも無くなっていました。
ハダリーが持っている劇薬により、フライデーは眠らされます。ただし劇薬の為、屍者のフライデーにとっても好ましくない薬だとハダリーはワトソンに伝えます。
ザ・ワンにより「ヴィクターの手記」を使われ、屍者を凶暴化する禁忌を発動させます。
凶暴化した屍者により、生者は殺され街は大混乱に陥ります。
渦中の街で、ワトソン、フライデー、ハダリーはザ・ワンを追い求めます。そこでハダリーが怪我をしますが。怪我した彼女の皮膚の下には金属部品が・・・
ハダリーは人間ではなく、機械人形でした。
彼女もまた、機械である自らに魂を宿したい。そう願っていたのでした。
そんなさなか、ザ・ワンは自らのメンテナンスの為、身を潜めていたところを、機関のエージェントMにより捕捉され、「ヴィクターの手記」も奪われてしまいます。
↓M
Mは生きてる者も全て屍者とし、世界から争いを無くすことを切望していました。
ですが、許されぬこと・・・
ワトソン達はMの野望を止める事に成功します、ですが、
Mにより捕捉されていたザ・ワンが動き出し、Mを殺害し、ハダリーを奪い去っていきます。
ザ・ワンの望みは、かつて愛した自らの花嫁の魂をハダリーに宿す事。また自らの老いた身体を捨て、フライデーの身体に自らの魂を定着させることでした。
ワトソンはフライデーと共に、ザ・ワンの計画を阻止すべく、そしてザ・ワンの魂を「ヴィクターの手記」に封印るために動きます。
ケガを負い、ボロボロのワトソン。ですが・・・
夢か現実かまたは
魂のあるフライデーがワトソンを助け、ザ・ワンを「ヴィクターの手記」へ封印する助けをしてくれました。
崩壊する建物から、脱出する屍者のフライデー、ワトソン、ハダリー。
ハダリーはワトソンに言います。
自分の中に他の意識が入り込み、元の自分に戻れない恐怖を感じたと・・・
ワトソンは言います。恐怖を感じるということは、既にハダリーには魂が宿っているのだと。
「ヴィクターの手記」を手に入れたワトソンは、
生きながらにして「ヴィクターの手記」を自らに封印します。
「ヴィクターの手記」という禁忌により、これ以上混乱を招かないためか
または、フライデーの魂を蘇らせるためか、
もしくは、科学者としての狂気か、
*捉え方は色々あるように明確には描かれていませんでした。
そして、ワトソンは実験を見守るフライデーに言います
「また君に会えるだろうか?」と
意識が薄れ行くワトソンの手をフライデーが握り返します。
フライデーの語りが入ります。
それは、生きていたときのフライデーではなく、屍者としての記憶と記を語っていました。
時は流れ、ホームズとワトソンが追われています。ワトソンには、「ヴィクターの手記」を封印する以前の記憶はありません。
それをハダリーが見守り。
フライデーは屋根の上から微笑みながらたたずんでいました。
END
つたない説明ですが、こちらが映画のネタバレになります。
原作とはたたことなりますが、時間が無いため本日はこの辺で、
後日、原作の内容も加筆します。
では、また。
今週のお題「映画の夏」